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その、透明な鎖を
第19章 語られたこと
龍はそれを聞き、2、3度軽く頷いて。
「……近々、凛に話すよ。君の気持ちと、その願いを」
その微笑みは、あくまでも穏やかで。
悠斗は思わず口を開く。
「あの」
ん? と龍は目で尋ねてきた。
「その話、俺も聞けませんか」
「え?」
「凛の本当の気持ちを知りたいから」
「悠斗君……」
「お願いします」
頭を下げた悠斗に、龍はしばらく沈黙で応える。
そしてようやく小さい声で、分かったと呟いた。
「どんな話になるか分からないよ? それでもいいんだね?」
その念押しに、悠斗は頷く。
凛の本心を知りたい。それだけだった。
――本当に、ただそれだけだったのに。