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その、透明な鎖を
第20章 答えなど、はじめから
「……悠斗はね、私の全部を知って。いろいろ思ったはずなのに、それでも私のことが好きだって言ってくれて。
嬉しかったけど……私が相手じゃなかったら、そんなふうに悩んだり苦しんだりする必要なんかなかったのに、って」
「凛」
「悠斗ってね、きれいなの。真っ直ぐ私を見てくれて。想いをいつもストレートに伝えてくれて。
……でも私は、そんなじゃないから。全然違うから。だからよけい憧れちゃうのかもしれないけど」
そこまで言うと、少し間を置いて。
それから、また。
「……時々ね、私の中のどろどろしたものが、なんだかどんどん悠斗まで蝕んでいっちゃうようなかんじがする。
普通なら悩まなくていいことで悩ませて。考えなくていいこと考えさせて。そうやって、悠斗を苦しませてるから。だから……ごめんなさい、って思う……」
「……それは、考えすぎだよ」
優しく宥めるような龍の言葉。