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その、透明な鎖を
第20章 答えなど、はじめから
「……ん。いつも、好きって言ってくれる」
「そう」
「こんな私なのにね」
「ん?」
「こんな、面倒なこといっぱい抱えてる私なのにね」
「凛……」
少し、その言葉が明るさを失って。
それに気付いた悠斗の顔に浮かんでいた笑みが、次第にその形を失っていく。
「悠斗ってもてると思うんだ。だってあんなに素敵な男の子だもん。
なのに、こんな私を好きになってくれて。選んでくれて。嬉しいけど……時々、ごめんなさい、って思う」
「……どうして?」
少しの沈黙――――。
もう、悠斗の顔からは笑みが完全に消えていた。
ドアの向こう側で、凛が話しているそれらを、悠斗はただ黙って聞くことしかできない。