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その、透明な鎖を
第20章 答えなど、はじめから
その身体が、腰が。
龍の手で揺らされる。
枕から顔を離して悲鳴のような声をあげたかと思うと、またそこに押しつけてくぐもった喘ぎを聞かせて。
彼女は乱れていた。
とても、激しく。
仰け反らせた背中に、黒髪が汗で張り付いて。
その顔はもう、涙と汗でぐちゃぐちゃで。
なのに、綺麗で。
「や、だめ……! っあ、ああ……っ!」
恍惚として、美しく、淫らな。
悠斗は、魅入られたかのように彼女から目を逸らせない。
そのとき、悠斗の視界に映る彼女の姿が突然ぼやけた。
思わず瞬きすると、頬にそれが零れ、伝っていく感触。
――そう。
本当は答えなど、はじめから分かっていたんだ。
それでも。
……それでも、俺は――――。
すべてを突きつけられた今も。
もう終わりだと思いながらも。
悠斗は凛への気持ちを失えないまま、ただ目の前の彼女を見つめることしかできなくて。