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その、透明な鎖を
第21章 普通って
はあ……と。
部屋の中へ入った龍は、ベッドへと腰掛けて。
それから大きく息を吐いた。
悠斗は入り口付近で立ち止まって。
「……凛、大丈夫なんですか」
思わずそう呟く。
気を失っているように見えたけれど。
「大丈夫……時々、ああなる。
少ししたら目を覚ますよ」
あんな乱れ方をする凛を悠斗は初めて目にしたから、さすがに少し心配で。
けれども龍のその言葉に、そうですか……と答えた。
「……あんなふうに、最中に泣いたり、も」
ちら、と。
龍は悠斗を見て。
「自分の中だけではいろいろと処理しきれなくなるんだろう。求めてくるのは、もう何も考えたくないと思ったときなのか――――。
まあ、さっきみたいに号泣することは滅多にないけれど……そうだね。泣き出すときも、あるよ」
「じゃあ、龍さんから凛を求めるときは」
無表情で質問する悠斗に、龍は少しその様子を伺うようにする。
それから静かに口を開いた。