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その、透明な鎖を
第3章 いいこと
「……え?」
思わず、悠斗は聞き返す。
――いま、凛は何て言った?
くるっ、と彼女が振り向く。
彼を見て。
首を傾げるいつもの仕草で。
「……ね。いいこと、しよ?」
再び、彼に囁くように。
そして彼女は自分の胸元へと視線を向けた。
指先が、ブラウスのボタンを外すために動かされる。
「凛――……」
彼の、戸惑い。
彼女はすべてのボタンを外すと、そっとそれを脱いだ。
下着の中に、窮屈そうに収められたその胸。
彼は思わず視線を逸らして。
――それからまた、そっとそこへと視線を向けた。
「悠斗」
凛が、近づいてきて。
悠斗の左肩に右手を置いた。
左手で、その長い髪を右耳へとかけながら。
顔を傾けながら、屈み込む――――。
……微かに、触れ合った唇。
凛は、すぐにそれを離して。
そして悠斗を見て。
目を合わせて。
また、呟くように言った。
「……気持ちいいこと、しよ?」