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その、透明な鎖を
第21章 普通って
「君はまだ、凛と出逢って3か月だ。凛の過去を知って、まだひと月も経っていない。
……そして、これからずっと凛のそばにいてくれるという保証もない」
悠斗は、その言葉に顔を上げる。
龍を見つめ、首を振った。
――違う、違う……!
俺はずっと凛のそばにいるって決めた。
凛から離れないって決めた――――!
頭の中で、そんなふうに思うのに。
けれどなぜか口に出せない。
――だってあんな凛の姿を目にしてしまったら。
もう何を言っても……何をしたくても。
凛が俺を選んでくれないんだったら、もう。
「オレは、ずっとそばで、あの子を見てきた。
どんな想いも、どんな葛藤も、すべて見てきて。そうやって生きてきた。
あの子しかもういないオレは、あの子から離れることもない。凛もそれをよく分かってる。だからオレにはああやって感情をぶつけられるんだと思う」
――結局、俺には無理だったって、龍さんはそう言いたいんだろうか。
もう、凛は諦めろって言いたいんだろうか。