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その、透明な鎖を
第21章 普通って
「わかってるよね」
どういうつもりなのか、龍は念を押すように同じ言葉を繰り返す。
「……わかって、ます。でも」
そう。
龍との絆をあんなふうに見せつけられて。
言葉も、行為も。
自分が入り込む余地など微塵もなさそうな。
凛が、龍の存在を必要としているのはよくわかっていた。
だとしても、身体の関係まで必要なのか?
――そう思っていた悠斗の考えなど一瞬にして、その光景の前に消え失せた。
言葉では満たしきれないものを、身体を重ねることでふたりは満たしている。
言葉にできない、言葉では足りない感情を、そうやってぶつけて。受け止めて。
そんな精神性さえも感じたふたりの行為に、悠斗はただただ打ちのめされたのだ。
嫉妬や悔しさ、嫌悪なんかよりも、そう、一種敗北感にも似た、それを感じ。
そこから目を離すことも。ふたりを止めることもできない。
そんな……光景だった。
「……凛と、龍さんの間に、俺は入り込めない」
そして、ぽつりと。
ただそれだけを口にする。