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その、透明な鎖を
第21章 普通って
凛と龍。
その関係で、互いを慰め合う。
龍の支えとなっていることで自分という存在を、凛は許し。
そうして、許された自分は、悠斗との関係でただのひとりの少女として解放され。満たされる。
けれどやがて再び襲われる、決して消えはしない自己嫌悪。私なんかが、という自己否定。
……そして、悠斗と付き合っていくことで生じる新たな感情もあるだろう。楽しさだけではない、悠斗に対する引け目を始めとする、様々なそれ。
楽しければ楽しいほど、きっとその反動は大きい。
それらに心が持って行かれそうになる中、龍に縋ることで、自分を保ち続けて。許し続けて。
凛の心はそれを繰り返す。
そうして、ふたりの気持ちに助けてもらいながらも、まだ自分で自分をコントロールできているということで――――。
悠斗の存在がなかったとき。
満たされなかった少女としての凛は、時折悲鳴をあげていた。
一生自分はこのまま、こうやって生きていく。
そう思いながらも、その中でひたすらにもがいている自分もいた。
閉鎖されたようなふたりだけの関係の中、その思いに溺れそうになりながら、無意識のうちに求めていた救い。
諦めたはずの、単純だけれどとても大事で。まるで光のように思えたその感情。たとえ反動が大きくても、それを手放せないと感じるほどの幸せ。
……あの日、悠斗の存在が入り込み、共に過ごす日々で作られていったその場所――――。
それに気付いた龍の言葉が意味すること。
それは、言うなれば。