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その、透明な鎖を
第21章 普通って
「それは、今、凛が君とオレのどちらかを選ばなければならないとしたら、の話だろう?
……だったら、選ばせなければいい。凛はどちらも欲してる。選ばせる必要なんかない」
ただひたすらに凛だけを想う龍の口から発せられる言葉。
その、それだけのことだ、と言わんばかりの口調に、悠斗は一瞬ぞくりとした。
「凛の闇は、オレが引き受ける。
オレが原因なんだから、自分でちゃんと責任を取るよ。誰かに押しつけようだなんて思わない」
「龍……さん」
「凛が、そう望んでくれるならオレは喜んでそうする」
でも――――と。
龍は、悠斗を見つめる。
「凛の中に、もう君じゃなければだめな部分がある。出逢って、好きになって。すべてを知っても受け入れてくれたそんな君の存在で、初めて満たされた部分」
「龍……さん……」
「君が作った場所だよ」
その言葉に悠斗の唇が震え、思わず噛みしめた。
俺が作った場所――頭の中でその言葉を何度も繰り返して。
「悠斗君。だから君も、凛のために。凛の求める君で、あの子のそばにいてくれないかな」
龍は、変わらない静かな表情のまま、そんな言葉を口にする。
「あの子が好きなら。あの子の望みを」
「待って――――待ってください……!」
龍の言葉を遮り、悠斗は声を上げた。
頭が……頭がひどく混乱している。