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その、透明な鎖を
第21章 普通って
「……龍さんは……龍さんは本当にそれでいいんですか……!?」
混乱して、何を言ったらいいかもわからなくなって。
今まで何度も聞かされた、答えなどもう分かっているはずのその質問を。
「オレは、凛が幸せならそれでいいって言っただろう?」
――ほら。やっぱり。
龍さんは、揺るがない。
龍さんの想いは、ただひとつ。
凛が幸せに生きること――それだけに、向けられているんだ。
なら、俺は?
凛の幸せはもちろん望む。
自分のそばで、いつも笑っていてほしいと思う。
自分が、凛を幸せにしたい。
けれど、自分の存在だけでは凛は幸せにはなれない。
……なれないんだ。
そこには龍さんも、いなければ。