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その、透明な鎖を
第22章 夏の名残
「凛、っ――……!」
ドアに背中を預け、泣きそうになっている自分に戸惑いながら見上げた空には、星が綺麗に光っていて。
「どこに、行ったんだよ……っ……」
でも、それを綺麗だなんて思う余裕もなく、ずるずると、そのまま崩れ落ちるように悠斗はそこに座り込む。
「何で……っ」
――いつも、そこにいたのに。
悠斗は、そう思って。
――いつも、俺を待っててくれたのに。
そう、あの雨の日。
橋の下に置き去りにしたときも。
龍との関係を知り、考えさせてほしいとその場を後にしたときも。
「それでもいつも、俺を待っててくれたじゃん……」
呟いて、自分でたまらなくなったのか。
髪の毛をくしゃっと掴むようにする。