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その、透明な鎖を
第22章 夏の名残
そうして、そのまま彼は凛を待った。
帰ってこない彼を心配した親からの電話に、急に友達の家に泊まることになったと答え。
そのまま、朝まで悠斗はそこで、ずっと。
でも、凛も、龍も。
結局帰っては来なくて。
もしかしたら、もうこの家には住んでいないんじゃないか?
もう、ここには帰ってこないんじゃないか?
そんなことまで考えてしまって、悠斗は慌てて首を振ってそれを打ち消した。
「……凛も、こんなふうにいつも俺のこと」
待ってたんだろうか、と。
うまく働かない頭でそんなふうに思いながら、ふらふらと立ち上がる。
「一回、帰んなきゃ……」
これから、またバイトだった。
正直、仮病を使って休んででもずっとここにいたいと彼は一瞬思ったけれど、性格なのだろうか……結局それはできそうもなかった。
「眩しい――……」
思わずぽつりと呟くほど、その日は朝からよく晴れていた。