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その、透明な鎖を
第22章 夏の名残
翌日も。
……翌々日も。
時間が空くと、悠斗は微かな希望と共に彼女の家を訪ね。
そして変わらない現実に、激しく絶望をした。
――後悔、ってこれを言うんだ。
彼女の家の玄関のドアに触れながら、彼はそれを知った。
――どうして、俺は。
何度思っても、何度悔やんでも。
そこに彼女はいない。
とんっ……と。
握った拳で、ドアを叩く。
「どこに行ったんだよ……凛……」
とん、とんっ……と。
その感情を、ぶつけるように、何度も。
――凛、会いたいよ……。
押さえ込んでいた本音が、出る。
くるくると変わる、その表情。
首を軽く傾げて、見上げてきて。
いたずらっ子のような笑みを浮かべて。
『悠斗』
その、囁き。
――聞きたいよ、もう一度……。