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その、透明な鎖を
第23章  その、透明な鎖を



――誰か、いる。



「……え」



それを目にした彼の足が止まる。
口から、思わず漏れた呟き。

いつもの場所。
遠目に、姿を確認した。



彼女が、そこにいる。



足が勝手に動いていた。
そこへ向かって駆け出す。

そんな彼を彼女も視界に捕らえて。
彼が駆け寄ってくるのを、いつものように待っている――――。




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