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その、透明な鎖を
第23章 その、透明な鎖を
「でも……それでも」
凛は、一度息を吐いて。
……それから静かに話を続ける。
「自分でも、勝手だって分かってる。あんな私を見られたのに、それでも……なんて思っちゃいけないこと、よく分かってる」
「凛……」
「悠斗のこと、私と龍の事情に巻き込んで。
悠斗が私の過去を知っても受け入れてくれたことに甘えて……結果的に、いっぱい振り回した」
悠斗は、首を振る。
一度離れようとした凛を、離そうとしなかったのは自分だ。
凛の過去を知っても、それは過去のことだと勝手に判断して本当の意味で受け入れていなかったのも。
だから、振り回されたわけじゃない。
……凛のせいなんかじゃない、と。
「だから……それでも、なんて思っちゃいけないことぐらい、私にだって分かってる。
……分かってるけど――――」
「凛」
悠斗は、俯いて話す彼女の言葉を切るように。
呼ばれた彼女は、顔を上げて。