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その、透明な鎖を
第23章 その、透明な鎖を
「俺、ちゃんと聞きたい」
「……え」
「凛の、俺に対する本当の気持ち」
凛が、瞬きを繰り返す。
「……それでも、何なのか。それが聞きたい」
「悠斗…」
……風が、凛の髪を静かに揺らしていく。
悠斗はそれを黙って見つめながら、彼女の次の言葉を待った。
「……それでも」
やがて、呟かれた言葉。
「それでも、言うこと……許してもらえるなら」
凛が何を言葉にしようとしているのか。
悠斗にはなんとなく分かった。
あのときとはきっと違う意味で『口にしてもいいのか』と躊躇ってしまう言葉。
「……言って」
彼女はその言葉に、きゅっ……と唇を噛んで。
それからゆっくりと、口にする。