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その、透明な鎖を
第23章 その、透明な鎖を
「……私、意地悪かな」
納得できないのか、凛が小さく呟く。
悠斗はそんな凛が可愛くて。
身体を離し、彼女に向かって
「そんな凛も好きだよ」
そう、言った。
「凛、覚えてて」
ん? と首を傾げる彼女に悠斗は続ける。
「凛を必要としてるのは、龍さんだけじゃない。俺もだよ」
「悠斗……」
「凛が生まれてきてくれて。こうして今、俺のそばにいてくれて。それがどんなに嬉しいか。
だからどう、ってことじゃないけど。そう思ってる人間がいるってこと。それ、ただ凛に言いたくて」
彼を見上げる凛の目が、少し潤んだ。
「凛の抱えてるものごと、俺、全部受け止めたいって思ってる。俺のことを好きな凛も……龍さんから離れられない凛も。そのままの凛を、俺、ちゃんと見ていく。それ、もう決めたから。
……だからずっと俺のそばにいてよ」
「悠斗……」
彼の名前を呟くと、たまらなさそうに彼女は俯いた。
悠斗はその頬に両手をそっと添え、彼女の顔を自分へと向けさせる。