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その、透明な鎖を
第23章  その、透明な鎖を


「……凛って、時々意地悪だよな」


それから、そう口にした。


「え……?」

「意地悪だよ」


――俺が、もう離れられないこと。
本当は凛だってわかってるくせに。



凛の表情。
その、仕草。
綺麗な声。
発せられる言葉。
繋ぐ指先。重ねる唇。
甘い身体。
そして、彼女のその想い……。

すべてが鎖のように彼に絡みつく。
彼女自身が、もうそれなのだ。

悠斗は分かっていて。
激しくそれを欲してやまない。
凛という、美しいその、透明な鎖を――――。



――逃れるなんて、できるわけなかったんだ。



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