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その、透明な鎖を
第3章 いいこと
「――っ、そんなこと思ってないって!」
悠斗は慌てて彼女に伝えて。
「そりゃ、誘われたときは正直びっくりしたけど。でも、全然そんなこと」
膝を抱えるようにして俯いている彼女の腕を掴む。
「むしろ、俺にがっかりしたんじゃないか、って心配……」
「……え?」
「俺、はじめてだったから。すごく焦って、ただ無我夢中で」
はあっ、と溜め息をついて。
「なんか、余裕なくて。凛に呆れられてないかな、って」
「悠斗……やだ」
その必死な彼の言葉に、彼女は少しほっとしたようにくすくすと笑い出す。
「そんなこと、思ってないよ」
「マジで?」
「うん」
「……よかったあ……」
悠斗も、ほっとしたような顔になる。