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その、透明な鎖を
第4章 その季節が訪れるまで
あとで苦しくなるのがわかっているのに、彼は彼女に触れずにはいられない。
彼女も同様に、身体を弄られて疼かされて。そのまま放置されるのは苦しくて。
それでもやっぱり触られたくて、自分からも彼を求めてしまう。
彼女の部屋で、慌ただしく交わることもきっと可能なのに。
お互い、それは我慢して。
じきに訪れるその夏の長い時間を共に過ごせることだけを楽しみに。
そしてその楽しみをさらに大きいものとして感じられるように。
自分たちをその沸き上がる欲望で焦らして、まるでわざと苛めるかのようにそれまでの日々を過ごしていた。
「あと、何日?」
唇が離され。
はあっ、と息を吐きながら、凛が呟いた。
「10日」
「まだそんなに先なの?」
待てないとばかりに、漏れた溜め息。
「早く、悠斗に触りたい」
「俺だって」
――凛に、触りたい。
身体中をもっと、もっと。
凛と、したい――――。
「待ち遠しいね、凛」
その夏が。
「ん」
暑い、本格的な夏の訪れが――――。