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その、透明な鎖を
第4章 その季節が訪れるまで
「凛――――……」
好きが先か。
身体が先か。
正直、悠斗にはそれもわからない。
好きだ、と凛に告白をして。
身体を繋げたのはそのあとだけど。
そうしたら、好きって感情がもっとさらに沸いてきた、と。
彼はそんなふうに感じていた。
「一目惚れ、だったな」
彼は思い出す。
凛と初めて会ったあの日を。
あれからまだ1か月半。
2か月にも満たない短いその時間。
でも、会ったその日の夜から、彼の頭の中に彼女は住み着いていて。
それからずっと、そこにいて。
「恋に堕ちるとか、マジであるんだ」
ゆっくりと育っていく愛もあるだろう。
でも自分は――堕ちたのだ。
その恋に。
凛への想いに。
「早く、会いたい――――」
悠斗は、シャツの胸元をぎゅっ、と握る。
心臓のあたりを。
動悸が激しいそこを。
「凛……」
これが、胸が痛むということなのか。
悠斗はそのとき、それを初めて知って――――。