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その、透明な鎖を
第4章 その季節が訪れるまで
事実がわかるとなんだか気まずいものを感じて、彼はそっとその場を離れた。
凛の部屋らしき場所の前を通るも、明かりはやはりついていなくて。
「やっぱいねーし……」
溜め息が出た。
会えると勝手に思っていたからか、会えないとわかったときのその気持ちの下がり方が大きくて。
諦めて家へと帰るその途中、思わず思い出してしまった。
あの、掠れたような艶めかしい声を。
……いっちゃう、と。
何度も口走っていた。
「すごかったな……」
――そういうときって、あんなに乱れてしまうものなのか……。
「じゃあ、凛、も」
こくり、と悠斗の喉が上下する。
――凛も、あんなに色っぽい声を出すんだろうか。
見たい。
そんな凛を。
激しく乱れる凛の姿を。
凛を、抱きたくて仕方がない――――。
一度身体を重ねたら、それを知っている分……それなしで過ごすのがどんなにつらいか、彼はわかってしまった。
知らなかったら耐えられたのかもしれないけれど。