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その、透明な鎖を
第5章 夏が始まる
「んっ……ゆう、と……」
はあっ、と。
苦しさに、重ねた唇を少しだけずらした彼。
その刹那を逃さずに彼女は吐息混じりに彼の名を呼ぶ。
――熱い。
夏の暑さ。
触れている彼女の肌から伝わるもの。
彼の身体の奥深くから湧き上がるそれ。
すべてが、熱くて。
「……っあ」
彼女の長い髪が、彼の身体にまとわりついて。
それに縛られてしまったかのように、彼女の身体から彼の手は、肌は、離れられない。
そのまま彼は彼女の首筋に唇を埋め、露わになっているその胸に両手を寄せる。
その、感触。
たまらなくて、いつまででも触れていたい。