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その、透明な鎖を
第5章  夏が始まる


彼の頭を支える彼女の両手。
その指先が、彼の耳を微かにさすった。


「っ、は……」


彼の身体が、ぞくっと震える。
一瞬そこから舌を離し。
でも、またすぐに唇を寄せる。
左右に振るように。
くるくると、まわりをなぞるように。


――熱い。


夢中になって愛撫を続ける彼の頬を、汗が伝う。
彼女の蜜の、独特の香りと味。
なぜか、たまらなく惹かれる彼女のそれを、すべてを舐め取ってしまいたい衝動に駆られる。
彼はその衝動のままに、ひたすら舌を動かした。
突起だけではなく、蜜の溢れてくるその場所も。左右のぴらぴらしているそれも。溝も。
凛の、そこの全てを。


――熱い……。


頬を伝った汗。
口に入って、少ししょっぱくて。
それでも、彼は彼女のために。


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