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『ヒロキ』
第4章 揺らぐ心
ヒロキと暮らすようになってからというもの、ヤツが居るおかげで部屋では着替えられないので、洗面所で身支度やら何やら済ませなければならない。


毎回洗面所に色々持ち込むのは、仕方ない事とはいえ、かなり面倒臭い。


朝の身支度を済ませて出て来ると、胡座をかいたヒロキがこちらを見てニコニコしている。


(…何でそんなに朝から機嫌いいのよ…)


怪訝な顔をして恐る恐る近づく。


(…あれ?そういえば、今朝はヒロキの方が先に起きてた…。それに、着替えも済ませてるみたいだし…。何か用事でもあるのかな?)


「ミオちゃんどしたの?そんなに見つめられたら、襲いたくなっちゃうじゃん(笑)」


「っ?!///べっ、別に見つめてないしっ!ちょっとぼんやりしてただけだしっ!///」


慌てるアタシを見てヒロキがククッと喉を鳴らした。


恐らく赤面しているであろうアタシは、方向転換して冷蔵庫に向かうと中からオレンジジュースを取り出してグラスに注ぎ、一気に飲み干した。


口元を手の甲で拭っていると、ふいにヤツが近づいてきたので思わず身構えてしまった。


「な、何っ?」


軽く睨みつけると、ヤツはクスクス笑い出す。


「あのさ、今日の朝ご飯なんだけど、外で食べない?」


「…へっ?」


突然の誘いに目が点になる。


「天気いいしさ♪それに、ミオちゃん午後から出掛けるんでしょ?」


「あ、うん…」


(あれ?アタシそんな事話したっけ…?)


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