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お姫様はドラゴンにさらわれました
第10章 ドラゴン兄貴
もし私の大事な人が病に倒れて、治療法がないとなったら、ドラゴンの血肉に頼らないでいられるだろうか。

ヒールダートの好意を逆手にとって、私のために死んで欲しいと言わずにいられるだろうか。

「そんなの……わからないわ」

声が震えてしまったかもしれない。

エレーレはなおも追いすがる。

「え、エレーレも、わからないです。エレーレは、ゼイお兄ちゃんと、ヒールダートお兄ちゃんと、どっちの味方したらいいですか?」
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