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お姫様はドラゴンにさらわれました
第10章 ドラゴン兄貴
「それは……」

私の有利になる返事をすればいい。
ヒールダートの味方をするように言うのだ。
そうすれば、少なくともエレーレは私を守ってくれる。

なのに、舌がもつれて動かない。

エレーレの純粋な目が、私の胸に突き刺さる。

「お姫様は、ヒールダートお兄ちゃんのこと、好きですか?」

今度こそ、私は言葉を失った。
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