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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第3章 転機
入輿に際して母から贈られた〝万葉集〟をめくっていた徳姫の手がはたと止まった。有職古切で装丁を施した美しい綴り本は、母の生家三条家所蔵のものであったが、母が月山に嫁す前、祖父の三条中納言から贈られたものだと聞いている。
しかし、本を読んでいるように見えても、実のところ、徳姫はただ文字の羅列を眼で追いかけているだけで、意識はまったく別のところにあった。とても書見などに集中できる状態ではない。
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