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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第1章 始まりはいつも雨
その重臣の筆頭たる上杉の裏切りこそが、足利将軍家の衰退を何より物語っていた。いや、既にこれよりかなり前から、衰退は始まってはいたのだが、この資範の変は、将軍家の権威の失墜を端的に象徴し、内外に知らしめることとなった。
とはいえ、幕府にもまだまだ忠義の臣はいたゆえ、彼等が力を合わせて逆臣資範を討伐し、乱はひとたびは終息したかに見えた。
やがて、前将軍の血を引くただ一人の生き残りである僧諦信(ていしん)が還俗して氏家となり、家督を継いで第十五代の将軍となるに及んだ。
とはいえ、幕府にもまだまだ忠義の臣はいたゆえ、彼等が力を合わせて逆臣資範を討伐し、乱はひとたびは終息したかに見えた。
やがて、前将軍の血を引くただ一人の生き残りである僧諦信(ていしん)が還俗して氏家となり、家督を継いで第十五代の将軍となるに及んだ。