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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第4章 花冷え
 ここは二ノの丸、蓮心尼の寝所も近い。あまり夜中に大声を出しては、何事かと怪しまれるだろう。それでなくとも、蓮心尼は、邦昭に無体な真似をされた徳姫に心からの同情を寄せている。それは、徳姫がひとえに傷心の極みにいると思っているからだ。
 不思議だ、この乳母といると、本当に哀しみや不安も忘れてしまう。
「やっとお笑いになりまましたね、姫さま」
 葛木も我が事のように嬉しげに言った。
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