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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第4章 花冷え
 保邦にじいっと見つめられると、それだけで徳姫は居たたまれなくなってしまう。こんな有り様で秘めた想いを隠し通しておけるのかと自信を失ってしまいそうで、心許なかった。
 そもそも何故、保邦が徳姫をおとなうたかといえば、その前日の保邦の母蓮心尼と徳姫とのやり取りが発端であった。無想庵正面に掛かっている額についての話に及んだ際、あの額の手(て)蹟は保邦が書いたものだと蓮心尼が語ったゆえであった。
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