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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第4章 花冷え
 保邦のひたむきな眼がつと徳姫を捉えた。
「私がここに来るのをどれほど愉しみにしていたか、恐らく、あなたはご存じない。毎日、後ろ髪を引かれながら、まるで大切なものを置いてきたかのような気持ちで引き返したことも、筆を握るあなたのその可愛らしい手に時々、素知らぬふりでそっと触れていたことも」
「保邦さま、それ以上仰ってはなりませぬ」
 徳姫が懸命な表情で首を振った。
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