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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第1章 始まりはいつも雨
これもまた、眼光鋭いという形容が当てはまるのかもしれないが、眼力(めぢから)そのものよりは、むしろその奥底にちらつく氷のような冷たさの方が気になる。底冷えを宿して炯々とした光を閃かせる瞳は、あたかも底の知れぬ沼のように不気味であった。
この男にじいっと見据えられていると、自分が蛇に睨まれている蛙にでもなったかのような気になってくる。酷薄そうな視線に絡め取られでもしたかのように、身じろぎさえできない。