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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第1章 始まりはいつも雨
 まるで金縛りに遭ったかのようだ。まだ九月の末だというのに、降り続ける雨のせいか、夜になって気温は急激に下がったようだった。それでもまだ膚寒いはずはないのに、徳姫は俄に膚が粟立つような悪寒を憶えた。
 そのくせ、背中には厭な感じの汗―冷や汗がしっとりと滲んでいる。
「姫さま、お館さまにご挨拶をなされませ」
 再度、葛木に促され、徳姫は漸く声を発した。
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