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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第1章 始まりはいつも雨
茫洋としていながら、邦昭などよりもよほど圧倒的な存在感を持つ男。
与えられた居室に落ち着いてから、傍に控える葛木が言った。
「先刻は何事もなく、よろしうございました。一体、姫さまの御身がどうなることやらと、この葛木、気が気ではございませんでした」
姫を連れ去ろうとした邦昭を、葛木は止めようとしたのだ。下手をすれば、たかだか使用人の分際で刃向かったと、その場で無礼討ちにされていたかもしれない。