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第6章 形。

私は、冷蔵庫にあるだけのビールを飲んだ。

情けなくて涙も出ない。

コップに注ぐわけでもなく、
缶のままのビールをグイグイ飲み干す。

酔えない。

隆司との過去を振り返る。

意地汚い豚め‥‥‥‥
恨みの念が増す。

金に汚く、
平気で嘘をつける人間の人相は、
どことなく醜い。

醜くて、
必死で嘘を隠そうとする、
したたかさが顔に現れる。

問い正し、
こっちの質問に対して、
都合悪くなると、
黙りを決め込む姿は、
豚以下の醜さだ。

豚ならまだいい。
食肉として命を捧げる事も出来る。

また、本来、豚という生き物は、
清潔好きな動物らしい。

隆司を見ていると、
嫌悪感しか湧かない。

こんな男だから、
セックスも遠のいた。


レン‥‥‥

私は、なぜ？
あなたの奥さんとして、
結ばれる運命を辿れなかったの？

私が奥さんだったら、
あなたを幸せにしょうと、
そればかりを考えて生きたわ。

レン‥‥‥‥‥
どうして‥‥

私は、あなたと不倫でしか、結ばれなかったの‥‥‥


外の風は強く吹き、
私の心のように、
どす黒い空模様。


嵐は通り過ぎますか？
晴れ晴れとした空を、私が見上げる人生は‥‥
あるのでしょうか？


不倫をした人間には、
晴れた空を見上げる資格なんて、
ないのでしょうか？