この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
みんな同じ空の下
第10章 遭遇
*
食事の片付けをした後、リノはレンカ達とナダとハジの組み手を見ることにした。
ナダは正面から勢いに任せて飛び掛かっていたが、ハジは無駄のない動きでするりとそれをいなした。そのまま地面に叩きつけられたナダは、「まだまだ!」と何度もハジに挑んでいた。
結局ナダが勝つことはないまま組み手が終了するころにはすっかり日が暮れていた。
夜になると酒が入り、賑やかさに拍車がかかる。
(しまった…)
完全に計画は狂ってしまった。
本来なら別の村を調査し、情報を少しずつ集めるつもりだったのに、気付けばリノはこの村の奇妙な集団と過ごしている。
この集団のことも気になるが、悠長にしてはいられない。リノには仕事がある。
リノはそうっと席を立ち、外へ出る。
中の賑やかさは変わらない。
――行こう。
「どこへ行く?」