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みんな同じ空の下
第3章 男を装う女
リノは自分が女のように扱われることを何より嫌う。だから女に見られないために、男の格好もしているし、警備局では男の名で通し、日々の鍛錬にも仕事にも積極的に取り組んでいる。
それはひとえにハクトのためであった。
「ところで、報告はよろしいのでしょうか」
「いや、聞こう」
ハクトは椅子に腰を下ろした。
「火北では朱緋村で盗みがありました。村役人の邸が侵入され、金銭と、個人購入の美術品が五点盗まれています。それと邸内にこれが…」
リノは、『咬龍団』と書かれた料紙を差し出した。
「盗みは咬龍団によるものと見て、間違いないかと思われます」
咬龍団は盗みをした証に、まるで挑発するかのようにこの紙を置いていく。筆致はいつも力強く、荒々しい。
「ふた月ほど前までは東嵐での盗みが頻発していたが…、また拠点を変えたのか…?」
ハクトはぶつぶつと呟きながら考え込み始めた。
咬龍団は各地で盗みを働いている為、警備局はその拠点を掴めずにいた。ふた月前に東嵐で被害が頻発していた為、人員をそちらに割いたが、結局収穫の一つも得られなかった。
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