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みんな同じ空の下
第30章 静かなる大捕物
「国家転覆を謀った疑いで、貴方がたを捕縛します」
凛とした声でリノが告げた。
この人混みの中では、簡単には逃げられないはずだ。
リノが落ち着いた様子で捕縛に使う縄を取り出した、その時。
「――ふ」
シバの口の端が僅かに歪んだ。
――何?
「ナダ。――やめだ」
シバがそう言うと、ナダがはっとしたような表情になり、大きく息を吸い込んだ。
「咬龍団だぁぁああああああああーっ!」
空気を裂くような大声でナダが叫ぶと、周囲が騒ぎ始めた。
「え、何。咬龍団っ!?」
「咬龍団が出たの?」
「わからないけど、今、誰かが…」
「やられたのか?どこの役人だよ」
「貴族かも知れないだろ」
「遂に王都にも来たってことかしら」
大通りの一部で起きた混乱の中、リノは人の塊に揉まれ、あっという間にシバ達を見失った。
――逃した。
こんな子供騙しのような手法で。
「…っ」
悔しさに拳を握りしめていると、背後から肩を叩かれた。
凛とした声でリノが告げた。
この人混みの中では、簡単には逃げられないはずだ。
リノが落ち着いた様子で捕縛に使う縄を取り出した、その時。
「――ふ」
シバの口の端が僅かに歪んだ。
――何?
「ナダ。――やめだ」
シバがそう言うと、ナダがはっとしたような表情になり、大きく息を吸い込んだ。
「咬龍団だぁぁああああああああーっ!」
空気を裂くような大声でナダが叫ぶと、周囲が騒ぎ始めた。
「え、何。咬龍団っ!?」
「咬龍団が出たの?」
「わからないけど、今、誰かが…」
「やられたのか?どこの役人だよ」
「貴族かも知れないだろ」
「遂に王都にも来たってことかしら」
大通りの一部で起きた混乱の中、リノは人の塊に揉まれ、あっという間にシバ達を見失った。
――逃した。
こんな子供騙しのような手法で。
「…っ」
悔しさに拳を握りしめていると、背後から肩を叩かれた。