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みんな同じ空の下
第31章 企み
取り調べる最後の人物は、タセムだった。
警備局副監理官兼第一警邏長だったタセムを取り調べることを多くの者が躊躇う中、それを行うのは役職が彼より上となる唯一の人物、ハクトであった。
「ああ、監理官が取り調べをされるのですか」
世間話を始めるように、タセムが口を開いた。
「皆、お前の聴取だけは嫌がるからな。仲間意識が強いのは結構だが、それで公平性を欠きそうになるのは誉められたものではないだろう」
「まったく同感です」
普段と変わらずくつくつと笑うタセムに、ハクトは得体の知れないものを見る気持ちだった。
「――タセム。お前は何がしたかったんだ?」
「…私は、今の国が気に食わないんですよ」
ハクトの質問に、タセムは穏やかに答え始めた。
警備局副監理官兼第一警邏長だったタセムを取り調べることを多くの者が躊躇う中、それを行うのは役職が彼より上となる唯一の人物、ハクトであった。
「ああ、監理官が取り調べをされるのですか」
世間話を始めるように、タセムが口を開いた。
「皆、お前の聴取だけは嫌がるからな。仲間意識が強いのは結構だが、それで公平性を欠きそうになるのは誉められたものではないだろう」
「まったく同感です」
普段と変わらずくつくつと笑うタセムに、ハクトは得体の知れないものを見る気持ちだった。
「――タセム。お前は何がしたかったんだ?」
「…私は、今の国が気に食わないんですよ」
ハクトの質問に、タセムは穏やかに答え始めた。