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みんな同じ空の下
第31章 企み
「もともと平民の私は、運良く官吏試験に受かり、軍部に拾われ、必死に働いていました。その甲斐あって、人並み以上には身形も金回りも良くなりました。ですが驕ることはなく、日々の鍛練は怠らず、中央でも地方でも行けと言われたら二つ返事で向かいました」
タセムは懐かしそうな目で空(くう)を見つめた。
「その中で見てきたのは、優秀なのに冷遇される平民出身者と、大した能力もないくせに金と権力を盾にそこそこ取り立てられる裕福な者との差でした。まあ同時期に軍部に入ったクガのように、裕福な家の出身でも才能のあるまともな者はいましたがね。多くは中央の官吏も地方の役人も碌(ろく)な者はいない。軍部を離れたのも、腐りかけた中央の近い部分にいることに嫌気が差したからです」
そして、とタセムが続ける。
タセムは懐かしそうな目で空(くう)を見つめた。
「その中で見てきたのは、優秀なのに冷遇される平民出身者と、大した能力もないくせに金と権力を盾にそこそこ取り立てられる裕福な者との差でした。まあ同時期に軍部に入ったクガのように、裕福な家の出身でも才能のあるまともな者はいましたがね。多くは中央の官吏も地方の役人も碌(ろく)な者はいない。軍部を離れたのも、腐りかけた中央の近い部分にいることに嫌気が差したからです」
そして、とタセムが続ける。