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みんな同じ空の下
第33章 最後の夜

*
「まったく…。無茶を仰いますね、ハクト様」
呆れ顔のクガが、城門の前で溜め息を吐きながらハクトとリノを出迎えた。
前回と同様、早馬でクガに知らせを入れていたのだ。
城門をくぐって王城に入ると、クガは、ハクトとリノを人の気配のない、寂しい通路に案内した。
その通路の奥まで進んだところで、クガはハクトに鍵の束を渡し、「俺はこれで失礼しますよ」と言って下がった。
目の前には鍵のかかった小さな扉が一つ。
ハクトは先程クガから受け取った鍵を使って、その扉を開けた。
扉の先には、薄暗い階段が続いていた。
「ハクト、これは…」
「地下牢への階段だ。この先にシバがいる」
そう言うと、ハクトは階段を下り始めた。
リノも後を追って、光の少ない階段を下りていく。
長い階段を下った先には、鉄製の牢に繋がれたシバがいた。
逃げ場のない牢の中にいるためか、枷(かせ)を嵌められてはいないようだが、髭は伸び、逞しかった体は少し痩せたように見える。

