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みんな同じ空の下
第36章 二年後の再会
「再会するまでは考えもしなかったし、逢えただけで充分だと思ったが…、話していて気が変わった。お前には、傍で私の心を守ってほしくなった。心の支えとして妃となり、私から最も近い所にいてほしい。私がお前を想う気持ちは、ずっと変わらない。リノ、私は今もお前のことを…」
「…なりません」
リノがハクトの言葉を遮った。
「私は平民です。陛下の妃には相応しくありません。何より…」
ハクトのために一度は捨てたはずの女に戻ってしまうくらいに、愛した男がいた。
「私は、あの人を忘れてはいけないのです」
誰もが幸福に暮らせる国を目指し、死んでいった男のことを、世間は少しずつ忘れ始めている。
年月が経つということは、そういうものだ。
だが、リノは忘れたくなかった。
「私は…、このまま一人で暮らします…」
「…そうか」
張りのない声で、ハクトは頷いた。
「…なりません」
リノがハクトの言葉を遮った。
「私は平民です。陛下の妃には相応しくありません。何より…」
ハクトのために一度は捨てたはずの女に戻ってしまうくらいに、愛した男がいた。
「私は、あの人を忘れてはいけないのです」
誰もが幸福に暮らせる国を目指し、死んでいった男のことを、世間は少しずつ忘れ始めている。
年月が経つということは、そういうものだ。
だが、リノは忘れたくなかった。
「私は…、このまま一人で暮らします…」
「…そうか」
張りのない声で、ハクトは頷いた。