この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
みんな同じ空の下
第38章 幸せに、生きろ。

*
揺火村にある母親の墓に、リノは抱えていた供花の中から一束分を供えた。
墓前に手を合わせ、静かに母と語ったリノは、手元に残った供花を持って村の奥地へと入っていった。
ハクトが追いかけると、広々としているが殺風景なそこには、墓が二つ並んでいた。
「…リノ、これは…」
「…一つは、シバのお墓です」
リノが噛み締めるように答えた。
「そしてもう一つは、シバを育てたミトさんという方のお墓です」
リノは静かに並んでいる二つの墓の前に腰を下ろした。
「シバの骨は処刑後に何処かへ流されたようなので、中は空っぽなのですが、せめて形だけでも育てのお母さんと一緒にいさせてあげたくて、私が勝手にこの場所にシバのお墓を建てました」
言いながら、リノは二つの墓それぞれに花を供えた。

