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私達が人間を辞めた日
第6章 愛しい人
「11番!!出ろ!!」
ここに来て何時間経ったのかはわからない...目覚めてからの体感ではおおよそ二時間程経過した頃...二人で部屋に入って来た作業服の男の声が響く。
「嫌ぁ...嫌ぁ...」
涼以外の男に裸を見せるなんて耐えきれない...
私は毛布を包んだ体を丸めひたすら首を振る...
「さっさとしろ!!」
ガシャアアン!!鉄格子が蹴りつけられる。近くで大きな音を出される行為は人間にとって生理的不快感が沸き上がる物...
「やだぁ...やだぁ...」
それでも私は耳を塞いで駄々を捏ねる子供のように拒絶する。
男は心底面倒臭そうに溜め息を吐き...ポケットから無線機を取り出し...言う。
「寿様...11番が酷く拒否しているのですが...」
男が言い終わる前に無線機から低い声が響いた。
「なら手荒でも構わん...」
無線機を通しているとは思えない程生々しく...全身に鳥肌が立つような声...
「かしこまりました」
無線機を切った男がもう一人に頷きかけると...檻の鍵が開けられた。