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夢のうた~花のように風のように生きて~
第3章 【手折られた花】
「おみつ、来て、ねえ、おみつ」
 混乱状態のあまり、おみつが今夜はいないことも忘れ果ててしまっていた。
「助けて、おみつ」
 夢中で呟くお千香を、定市が薄笑いを浮かべて見ている。
「いつまでも、ねんねだな。乳母がいないと、そんなに心細くてたまらないのか」
 まさかおみつがおらぬことを見計らって、定市が寝所に忍び入ってきたとまでは考えもしなかった。
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