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夢のうた~花のように風のように生きて~
第5章 《花塵》
前方に見えるのは、美濃屋の所有となっている今戸の寮であった。いわゆる別荘のようなものだ。付近には、やはり似たような商家の寮が点在しているが、人家はあまり見当たらない。要するに、平素から人が住んでいる家はこの界隈には殆どないと言って良いのだ。
寮番といって、管理人のような役目を果たす者だけが常駐しており、普段は寮番以外は誰もいない。昼間でも人気のない、良くいえば侘びのある風情の場所であり、悪く言えば寂れた淋しい場所であった。
寮番といって、管理人のような役目を果たす者だけが常駐しており、普段は寮番以外は誰もいない。昼間でも人気のない、良くいえば侘びのある風情の場所であり、悪く言えば寂れた淋しい場所であった。