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夢のうた~花のように風のように生きて~
第5章 《花塵》
この頃には、お千香はもう何かもかもが空しくなっていた。定市に抱かれるためだけに生き、存在しているような自分の人生は一体何なのだろう。
生きていても意味がないように思え、いっそのこと生命を絶とうかと何度も考えた。しかし、その度に、徳松やおみつの顔が瞼に浮かんだ。生きてさえいれば、いつか大切な人々に逢えるかもしれない。いや、これほど穢された身では最早、徳松の前に出ることはできないかもしれないが、この世に徳松がいると思うだけで、お千香の心は慰められた。
生きていても意味がないように思え、いっそのこと生命を絶とうかと何度も考えた。しかし、その度に、徳松やおみつの顔が瞼に浮かんだ。生きてさえいれば、いつか大切な人々に逢えるかもしれない。いや、これほど穢された身では最早、徳松の前に出ることはできないかもしれないが、この世に徳松がいると思うだけで、お千香の心は慰められた。