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夢のうた~花のように風のように生きて~
第5章 《花塵》
 その席に政右衛門とおさとの一人娘お千香の姿はなかった。お千香は去年の春、かき消すように姿を消したままである。この頃に、美濃屋では芳しからぬ噂が立っていた。定市が今戸の寮に女を囲っているというのだ。
 この噂は、定市が三日にあげず熱心に今戸の寮に通う姿を見た奉公人たちが誰からともなしに囁き始めたものだった。
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